【解決事例 後遺障害7】びまん性軸索損傷や脳挫傷等により高次脳機能障害等級1級の認定を受け1億4890万円の賠償金を獲得した事例
2020.09.02後遺障害
データ A・Sさん【仮称】
性別 | 男性 | 職業 | – |
---|---|---|---|
年代 | 40代 | 傷病名 | びまん性軸索損傷 脳挫傷 |
後遺障害等級 | 1級 | 最終賠償額(UP分) | 1億4,890万円 |
※獲得賠償金額は1万円以下の端数を四捨五入しています。
ご相談の背景
A・Sさんは,自転車で道路を走行中に,対向車と,ほぼ正面衝突の形でぶつかり,車体や地面に全身を強打する形で,急性硬膜外血腫・外傷性クモ膜下出血・脳挫傷・びまん性軸索損傷により,受傷直後から,意識障害を抱え,言語能力も奪われた上に,脊髄の損傷もあり,両手足の運動機能もほとんど奪われた形となりました。
事故によりしっかりと生活をしているにもかかわらず,ご本人は,自分の言いたいこともしたいことも出来ない状況になったのです。
ご親族の方の人生もこの事故により一変しました。毎日の看病に自分の心身の苦痛をおしてまで通う親御さんなども疲労困憊の中必死で彼の社会復帰を願っておりました。
しかし,現実の問題として,彼が元気に歩き回ったり話す姿を見ることは厳しいという現実がありました。
『事故前の彼が戻ってこないならば,せめて人生を奪われたに等しい彼のために適切な損害賠償金だけでも。それが彼への家族ができるサポートではないか。』
そんな想いで,ご親族の方が何人かの弁護士の先生に相談し,たどりついたのが当事務所だったようです。
弁護士の対応
相談に来られた際は,親族の方は既に弁護士の方に相談されているようでした。
その頃,親族の方が当事務所の弁護士兒玉が地元AMラジオ局のレポートを受けた番組を偶然聞かれて,弁護士兒玉の考え方に触れ,「この人にお願いしてみよう」と決断していただいたようです。
弁護士兒玉は,ご親族の方に『ご家族の方のために力を尽くすのでなく,声を出したくても出せない彼のために私は力を尽くします』とお話して,お引き受けしました。
もっとも,脳外傷によって判断能力などが奪われた方の損害賠償請求のケースは,被害に遭われた方が自分で法的な判断ができない状況になっている事も多く,それ故,そういった判断能力などの不足を補う形で,成年後見制度の利用し,成年後見人を立てる必要が生じます。
家族の人生が大きくねじ曲げられた悲しみの中,なんとか成年後見の申立を行い,高額の賠償金が発生するケースとして,裁判所の意向により,弁護士兒玉が成年後見人として被害者ご本人の代理人として損害賠償請求を行う事になりました。
その結果,自賠責保険から4000万円を受領し,その後,相手方保険会社との交渉により1億0090万円を受領しました。
さらに,その後800万円を調停により獲得しました。合計すると1億4890万円もの賠償金を獲得したことになります。
なお,実際は,彼自身が加入している保険会社からの保険金450万円の入金もありました。本件では,相手方保険会社および代理人弁護士の先生が彼の生活の困難さに一定の理解を示していただいたので,比較的円滑に解決をはかる事ができました。
成果と感想
確かに1億4000万円を超える賠償金額は,高額です。しかし,この高額賠償金は彼が自分の人生の楽しみを失った事により得られたものであり,弁護士兒玉も手放しでは喜べませんでした。
また,賠償金請求を完結させるにつき大いに悩んだ点があります。できれば,施設看護より,自宅看護をと親族の方の希望もあり,自宅看護の道も模索しましたが,彼が,いざ体調不良になった場合に迅速に対応できるためには施設看護の方が結果的には彼の生活に資するのではないかと考え,迷いに迷いつつ施設看護を前提として損害賠償請求を完結させました。
交通事故の損害賠償請求という形でのミッションは終わりました。
しかし,弁護士兒玉は,彼の成年後見人です。
彼の【これからの人生のサポート】という大きな仕事があるのです。
宮崎にも,たくさんの重度後遺障害で苦しむご本人や家族の方がいらっしゃいます。悲しみの中,疲れきった中,「色々考えるのに疲れた」という形で,相手方保険会社からの提示額をそのまま受諾される方もいます。
しかし,それでは,被害にあった当事者の方の苦しみは報われがたいのではないでしょうか。